他サイトで公開されている通信速度のデータの信頼性をあげてみる
格安SIMの速度を計測しているサイトでは、
ほとんどの場合が、1回 ~ 3回程度の計測で 平均値から計測結果としている場合が多いです。
また、計測結果を公開しているサイトで、計測スマートフォンも計測場所も計測方法もまちまちで、また、時間帯も微妙に異なっており、
一概に、同じ土俵で数値だけを比較することは難しいです。
確かに実測された貴重なデータであるのは間違いないのでしょうが、
それらのことから、今ひとつ公開されているデータの信頼度についてどう考えるべきか・・・迷ってしまうことがあります。
そこで、ここでは、その散乱したデータを相対的な速度(以降、相対速度を称す)で計算し、グラフ化してみます。
相対速度は、同一条件で計測された一連のデータから、以下の計算式で算出します。
相対速度 = ( ( 実測結果 - 最高速度 ) ÷ ( 最低速度 - 最高速度 ) ) × 100 (%)
以下は、それをグラフおよび表にまとめたものです。(データは2016年3月3日~7日にかけて収集されたものです)
お昼時(12:30ごろ)の通信速度
格安SIM通信速度比較(午後12:30)
格安SIM | サイトAのデータ | サイトBのデータ | サイトCのデータ | 平均値 |
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mineo D | 4.57 | 4.63 | 8.09 | 5.77 |
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OCN | 1.95 | 2.08 | 2.49 | 2.17 |
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BIGLOBE | 1.07 | 0.08 | 3.73 | 1.63 |
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IIJmio | 0.29 | 0.62 | 3.84 | 1.58 |
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DMM | 0.00 | 0.00 | 1.56 | 0.52 |
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NifMo | 7.78 | 1.08 | 3.94 | 4.27 |
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楽天 | 59.24 | 34.83 | 100.00 | 64.69 |
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FREETEL | 100.00 | 100.00 | 53.01 | 84.34 |
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b-mobile | 1.36 | 0.00 | 0.00 | 0.45 |
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DTI | 23.15 | 14.75 | 42.84 | 26.91 |
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最小値 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | 0.45 |
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最大値 | 100.00 | 100.00 | 100.00 | 84.34 |
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平均値 | 19.94 | 15.81 | 21.95 | 19.23 |
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中央値 | 3.26 | 1.58 | 3.89 | 3.22 |
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帰宅時(19:00 – 20:00ごろ)の通信速度
格安SIM通信速度比較(午後19:00 – 20:00)
格安SIM | サイトAのデータ | サイトBのデータ | サイトCのデータ | 平均値 |
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mineo D | 29.66 | 62.36 | 56.08 | 49.36 |
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OCN | 8.82 | 3.47 | 30.21 | 14.17 |
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BIGLOBE | 0.00 | 0.00 | 11.29 | 3.76 |
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IIJmio | 18.48 | 12.84 | 35.14 | 22.15 |
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DMM | 16.20 | 9.27 | 37.36 | 20.94 |
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NifMo | 100.00 | 63.42 | 49.23 | 70.88 |
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楽天 | 67.98 | 55.89 | 100.00 | 74.62 |
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FREETEL | 63.50 | 100.00 | 95.27 | 86.26 |
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b-mobile | 43.12 | 47.20 | 0.00 | 30.11 |
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DTI | 77.64 | 28.76 | 21.14 | 42.52 |
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最小値 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | 3.76 |
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最大値 | 100.00 | 100.00 | 100.00 | 86.26 |
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平均値 | 42.54 | 38.32 | 43.57 | 41.48 |
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中央値 | 36.39 | 37.98 | 36.25 | 36.31 |
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実測値からの総括
上図から、
MVNOにおける最も厳しい時間単であるお昼時は、相対的に 楽天モバイル、FREETEL が異常に高速であることがわかりますね。
また、夕方から夜にかけても 楽天モバイル、FREETEL が異常に高速です。
mineo D および DTI SIM もかなり高速です。さらには、IIJmioおよび同MVNEである DMMモバイルも健闘しています。
BIGLOBEは、2月に増強を行ったはずなのですが、このグラフからは改善が見えてきませんね。(最近、さらに増強したらしいので今後に期待しましょう。)
また、b-mobileのばらつきは、かなり幅があり、これも厳しそうです。
この通信速度は信用できるか
スピードテストブーストというのがあるらしい?
上記の結果からすれば、ほぼほぼ 同じような通信速度が出ていることから、間違いなく実測値としてはこれらの通信速度が出ているのでしょう。
ただ、これらの結果は、ほぼ間違いなく スピードテスト用の Android のアプリを使っての計測でしょう。
これに対応しているMVNOがあるというのは、最近ではよく知られています。
これは、”スピードテストブースト”(スピテスブースト)と呼ばれ、その名の通り スピードテスト時だけ一時的に高速通信を行うもので、いわゆる偽データと同じです。
ただ、全く偽かというとそうでもないところがやっかいなところです。
スピードテストとはいえ、実際にデータの送受信を行った結果であることには間違いないのです。
動画や画像の通信規制があるらしい?
良く知られているところでは(検索するとかなりの情報が出てきます)、
FREETELでは動画や画像のダウンロードでは何らかの規制が入っていて、かなり、通信速度が抑えられることがわかっています。
また、楽天モバイルでは、動画のダウンロードでは何らかの規制が入っていて、非常に 通信速度が抑えられることがわかっています。
いずれも先の通信速度の実測値では、かなり良い結果を出している両者でもあります。これが何を意味しているか・・・。
動画や画像の通信規制は悪いことか?
FREETEL や 楽天モバイルのように動画などの通信速度を規制していることが悪いことか?というとそうでもないことが、これまた厄介なところです。
これらの規制は、格安SIMのポリシーというか考え方だと思います。
動画などをガッツリ見るヘビーユーザには、ある程度我慢してもらって、LINEやウェブが中心のライトユーザに快適な環境を提供していると言えなくもないので、
このあたりが微妙ではあります。
どうしても格安SIMでは、回線をだれかが占有的に利用してしまうと、そこで他のユーザが圧迫されてしまうことはやむを得ないところがあり、
占有率を下げることは、どこかで規制することになりますから、結局は、FREETEL や 楽天モバイルのような規制をせざるを得ないということなんですよね。
ただ、問題はこれらの制御(パケットのコントロール)をどこまで公開しているか?なんだろうなぁと思います。
これらのことを何も公開せずにやっていると宣伝文句とのギャップにユーザが離れることもあるかと思います。
ということで、結局、ユーザ(利用者)が、どちらを選択するか・・・なのだと思います。
すべてに ほぼ規制なく使えて なんでも利用できるが輻輳すれば重くなる環境が良いか、
あるいは、ある程度の規制があっても ほぼ平均的な通信速度で利用できる環境が良いか、
さあ、みなさんはどちらを選ばれるでしょうか?
結局、通信速度が意味するところは?
つまり、これらのことからも、
同じドコモ回線を使ってほぼ同じ価格帯で利用可能なMVNOの通信速度が、極端な差は出ないはずなのです。
もちろん、新規参入でユーザ数が少ないMVNO(MVNE)の場合は、快適なのはわかりますが、
そうでない限りにおいて、「このSIM(MVNO)は 極端に通信速度が速い」なんてことはあり得ないのだと思います。
ただ、多少の違いはあります。
OCN,BIGLOBE,IIJmio などの微妙な差が、MVNOの本来の差なのだと思います。
同じ条件下であれば、これぐらいの差しか生まれないのではないかと思います。
いかがだったでしょうか?
グラフと表ではっきりとわかるように、概ね どのサイトの実測データも 同じグラフを描いていますから
スピードテストの結果としては、信頼できる数値のようです。
ただ、先にも書いたように、異常に良い値が出ているSIMは「やっぱりかぁ」という感じもしますね。
異常に良い数値が出る格安SIMは、他のサイトでもいろいろな検証がなされており、概ね 何かしら制約がなされていることは間違いないようです。
さらに、スピードテストでなく単純に動画や画像などを実際にダウンロードしてみると、結局、それらの速度は、他社のSIMと大差ない あるいは、むしろ悪いことがわかります。
上記のいずれのSIMもドコモ回線で、同価格帯のMVNOなので、それほどの差がでるはずもなく、
逆にFREETELや楽天モバイルのように良すぎるのは、逆に怪しいですし、何らかのからくりがあるに違いないことだけは理解されていると良いかもしれません。