そもそも MVNO(格安SIM)はどんな事をやっているのか?
そもそも MVNO(格安SIM)は再販なんです
上図の右枠内が、広義でのMVNO(仮想移動体通信業者)のネットワーク構成を示したものです。
左枠内が、3大キャリアなどのMNO(移動体通信業者)の範囲になります。
これをみればわかるように、
MNO(移動体通信業者)のみで音声接続、インターネット接続が賄えています。
MVNO(仮想移動体通信業者)は、MNOのモバイル回線とインターネットとの間を接続することに特化した事業体であることがわかるかと思います。
音声接続はMNO(実質3大キャリア)から貸与しており、基地局や音声接続のための交換機などの設備は、一切持ちません。
狭義でのMVNO(仮想移動体通信業者)は、MVNE(仮想移動体サービス提供者)と分けて使用することがあります。
この狭義で使用する場合は、上図の右枠内のモバイル回線とインターネットとの間を接続を行うのは、MVNEが担当することになります。
つまり、狭義のMVNOでは、MVNEから提供された回線接続サービスを販売する再販(営業)が主な事業内容となります。
そもそも MVNEはインターネットの接続を行うことだけが実態なんです
先にも書いたように 狭義でのMVNOは MVNE とともにインターネット接続サービスを提供します。
MVNE は、あくまでデータ接続を行うのみであり、音声接続は既存のMNOを利用することになります。
このため、MVNE はインターネット接続サービスを提供しているプロバイダーが行っている場合が非常に多いです。
ここまでで、広義のMVNOあるいはMVNEが、(もちろんユーザ管理なども行っていますが)インターネットの接続だけを行っていることがご理解いただけたと思います。
さて、ここで MNO と MVNOをつなぐ レイヤー2接続(L2接続) というキーワードが出てきます。
L2接続による相互接続が可能となるまでは、レイヤー3接続(L3接続) という相互接続を行っていました。
L3接続では、ユーザとインターネットアドレスであるIPアドレスのマッピングなどは、MNOが受け持ち、MVNOは、MNOとインターネット間のパケット送受信のみを行っていました。
しかし、L2接続によりユーザとIPアドレスのマッピングならびに回線の帯域管理なども行うことができ、
より詳細な回線制御を行うことができるようになりました。
ここでは、あまり専門的な解説は省略し、L2接続となったことで、よりMVNOができることが増えた(逆にMNOの関与が減った)と思っていただければ、大きくは違わないでしょう。
そもそも MVNOの回線強化って何をしているのでしょう
よく MVNO のお知らせの中に「回線強化を図りました・・・。」のようなプレスリリースのような文書が公開されることがあります。
この回線強化 によって、少なからず MVNOを利用しているユーザは、快適になっていくはず(また、快適になるはず)です。
さて、この回線強化とは、どのようなことをやるのでしょうか?
ここまでの MVNO および MVNE の仕組みをご理解いただいていれば非常に簡単かと思います。
回線強化とは、以下の作業になります。
- MNO と MVNO(MVNE) の間の回線を太くする(帯域を大きくする)
- MVNO(MVNE) で使用しているサーバーを含む機器を高速化する(機器の交換など)
もちろん MNO と MVNE 間の契約の見直しなども、当然、含まれてくるでしょう。
ただ、ここでは、MVNOでの回線強化のみについて書き出してみました。
つまり、格安SIM(MVNO)を利用しているユーザが、回線の速度が上がらない・・・遅い・・・重い・・・などと嘆いておられる場合は、
先の 回線強化 の箇所で輻輳していることが主な原因になっていると言えるのかもしれません。
- MNO と MVNO(MVNE) の間の回線が輻輳している
- MVNO(MVNE) で使用しているサーバーを含む機器が輻輳している
ここでも、もちろん MNO と MVNE 間の契約による縛りもあると思います。
ここまでご理解いただければ、なぜ、回線が遅くなるのかおわかりいただけたのではないでしょうか。
最後に、まとめてみましょう。
MVNO(格安SIM)は人気があればあるほど通信速度は遅くなるのか?
先にも書いたように 通信速度が遅くなるのは、大きく3つの原因が考えられます。
- MNO と MVNO(MVNE) の間の回線が輻輳
- MVNO(MVNE) で使用しているサーバーを含む機器が輻輳
- 上記も含めた MNO と MVNO(MVNE) 間の契約による制約
ただ、ほとんどの原因は、1番目の回線の輻輳ではないかと言われています。
つまり、人気があればあるほど回線の負荷は高くなるので、遅くなるのは当たり前です。
特に急激にユーザ数を伸ばした MVNOは、回線の負荷は高く、遅くなるのは当たり前です。
この回線強化は、早々に行う必要がありますが、MNO との契約も含めてすぐにできるものでもないようで、
MVNOが人気になればなるほど、ユーザ数を伸ばせば伸ばすほど遅くなり、対応が遅れれば遅れるほどユーザは逃げ出す・・・悪循環に陥ります。
MVNOの評価が、半年前と今では全く逆になっていることがよくあります。
これは、人気が高まり回線が持たなくなったり、逆に回線強化が図られ快適になった結果と言えるでしょう。
つまり、MVNOを選ぶ時の大きなポイントの1つは、
回線強化を定期的に行っているか否か を確認すると良いでしょう。
いかがだったでしょうか?
最近、BIGLOBE
が回線強化を図ったみたいです。
これらのお知らせに目配せしていると、なんとなく、良い MVNOがわかってくると思います。
